鷺森 秀樹展を鑑賞して思う
過日、新宿で開かれていた
「鷺森 秀樹展」に何となくすっ~と惹かれる思いで
会場に入って行きました。
その画風が私の心にふんわりとマッチして、観ていて何となく
安心感を覚えて、
「あゝいい感じだなあ!」と見入ってしまったのです。
( ポスターカードより)
「鷺森 秀樹」という画家は、日本ではあまり知られていないようですが、
若かりしときに芸術の本場フランスに渡り、レンブラントやベラスケスといった
古典の巨匠に影響を受けて、20年間研鑽を積んだ実力派なんですね。
(出展:鷺森 秀樹油絵展 30年の歩み)
どっしりとしたたたずまいのヨーロッパの寺院や、「ブローニュの朝」
にみられるように、うっそうとした森には、通常重々しい空気が感じられる
のですが、「鷺森 秀樹」の描き出す世界では、明るい空への抜け感、
雲の動き感、流れる躍動感があり、森の中に木漏れ日が差し込んで、
やさしく迎えてくれるような安心感をおぼえます。
「鷺森 秀樹展」薔薇への思い
特に心惹かれたのは、「白薔薇」や「野ばら」などのバラの花の作品なんです。
世界には名だたる有名画家が描くバラの絵は多々あるのですが、
私の受ける感じでは、油絵独特の重みを感じてしまい、
疲れてしまうなという受けとめ方をしてしまいがちです。
(もちろんこれは数少ない絵画鑑賞で、素人の私が受ける感じです)
「鷺森秀樹」の世界で見ると、バラの花のタッチと透き通る花瓶の中の茎が、
とてもいきいきと主張していて、まさしくこちらに呼びかけるものが
ありました。
母の好きな薔薇
実は亡くなった母が、白いバラが大好きな人でした。
棘のあるバラは、お供えには向かないといわれていますが、そんなことは
お構いなし、好物をお供えするように、ことあるごとに好きだった
白バラを飾ります。
私にとってのバラは、心のよりどころでもあり、美しいものへのあこがれでも
あります。
そこに「鷺森 秀樹」の世界がマッチして、より魅かれたのでしょう!
おわりに
「シャルトル大聖堂」、「グラナダへ」、「ルーアン大聖堂」などに描かれて
いる空や、雲のダイナミックな動きや筆使いは、明るく躍動感があふれて、
見る人の(特に私の)心をも引き上げてくれる、素晴らしいひと時を
持てて心穏やかに絵画展を後にしました。
見る者の心に、いつまでも残る「鷺森 秀樹」の展覧会でした。